平成29年12月24日
[流れ星]
第354回数学的な応募解答
<解答募集期間:11月26日〜12月24日>
[式の値と不等式]

NO1「浜田明巳」 11/29 11時59分 受信 更新 12/24
問題1
a+b+c=0 ⇒ (a5+b5+c5)/{(a2+b2+c2)(a3+b3+c3)}=?
c=−(a+b)から,
a2+b2+c2=a2+b2+(a+b)2
=2(a2+ab+b2)
a3+b3+c3=a3+b3−(a+b)3
=(a+b){(a2−ab+b2)−(a+b)2}
=−3ab(a+b)
a5+b5+c5=a5+b5−(a+b)5
=(a+b){(a4−a3b+a2b2−ab3+b4)−(a+b)4}
=−5(a+b)(a3b+a2b2+ab3)
=−5ab(a+b)(a2+ab+b2)
∴与式=5/6
問題2
a,b,c:三角形の3辺 ⇒ 3/2≦a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b)<2
a,b,cが三角形の3辺をなすので,
a>0,b>0,c>0,a<b+c,b<c+a,c<a+b・・・(1)
また,
2−{a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b)}
=[2(b+c)(c+a)(a+b)−a(c+a)(a+b)−b(a+b)(b+c)−c(b+c)(c+a)}]/{(a+b)(b+c)(c+a)}
=A
とすると,
Aの分子=2(b+c){a2+(b+c)a+bc}−{a3+(b+c)a2+abc}−{ab(b+c)+b2(b+c)}−{ac(b+c)+c2(b+c)}
=−a3+(b+c)a2+(b2+bc+c2)a+(b+c)(b−c)2
=a2(b+c−a)+b2(c+a−b)+c2(a+b−c)>0(∵(1))
∴a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b)<2・・・(2)
次に,x>0,y>0,z>0のとき,相加平均と相乗平均の関係から,
x+y+z≧3(xyz)1/3>0
1/x+1/y+1/z≧3{1/(xyz)}1/3>0
辺々をかけると,
(x+y+z)(1/x+1/y+1/z)≧9
等号は,x=y=zのとき,成立する.
x=b+c,y=c+a,z=a+bとすると,
2(a+b+c){1/(b+c)+1/(c+a)+1/(a+b)}≧9
∴{a/(b+c)+1}+{b/(c+a)+1}+{c/(a+b)+1}≧9/2
∴a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b)≧3/2・・・(3)
等号は,b+c=c+a=a+b,すなわちa=b=cのとき,成立する.
(2),(3)より,与不等式は証明された.
ちなみに左側の不等式は,a>0,b>0,c>0だけの条件で示される.
NO2「早起きのおじさん」 12/01 17時33分 受信 更新 12/24
問題1
●その1
とします。
まず分子は、
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次に分母は、
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よって、
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●その2

とおいてみます。
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●その3
のとき、
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より、
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![]()
より、
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![]()
より、
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さて、
![]()
ですが、(A)、(B)より、
![]()
![]()
![]()
ここで、(A)より、
![]()
ここで(D)より、
![]()
ここで、(C)より、
![]()
![]()
整理すると、
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問題2
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まず、前半部分を、全体
倍して、右辺から左辺を引いて考えます。
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![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
正三角形のとき、等号が成り立ちます。
次に、後半部分を、全体
倍して、右辺から左辺を引いて考えます。
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![]()
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二辺の和は、他の一辺より長いので不等式が成り立ちます。
「早起きのおじさん」 12/10 10時42分 受信 更新 12/24
問題2
●その1
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中央の式の値は、各項が正なので相加平均と相乗平均との関係から、

等号は、
のとき成立します。
前半部分から、
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後半部分から、
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下線部分を比較して、
![]()
![]()
![]()
とすると、![]()
より、
となり三角形の三辺にあてはまりません。
よって、
です。
この結果を式(B)に代入すると、
![]()
![]()
![]()
とすると、![]()
より、
となり三角形の三辺にあてはまりません。
よって、
です。
以上から、
となります。
これを式(A)に代入すると、
![]()

![]()
つまり、正三角形のとき、最小値になります。
次に図のように、一辺がほとんど0であるような三角形を考えます。

仮に
としてみます。
中央の式に代入してみると、
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![]()
![]()
![]()
ここで、
が小さくなると考えると、
![]()
中央の式の値は、2で抑えられます。
ついでに、正三角形を考えると、
![]()
ついでに、つぶれた鈍角の二等辺三角形を考えると、
![]()
●その2
三角形の三辺の長さを、
とします。
また、
であれば、
は他の二辺の平均の値をとることができます。
三辺の長さが
である三角形を考えます。
つまり、三辺の長さが、等差数列をなす場合を考えます。
考える式の値を
とおきます。




最後の式のカッコの中は、互いに逆数の和なので、相加平均・相乗平均の関係から

より、2以上の値をとります。
(等号は、三辺が等しいときです)
また、
なので、
![]()
より、小さな値をとります。
ここで最後の式のカッコの中の式の値を
とおきます。
![]()
すると、


以上から、各辺の長さに差がない正三角形のとき、最小値
をとることが分かります。
次に、正三角形にならないような場合を考えます。
三角形の三辺の長さを、
とし、
の場合を考えます。
(
です)
実際には三角形になりませんが、正三角形にならないつぶれた三角形を考えます。

![]()


ここで、
とおきます。
![]()

![]()
|
x |
・・・ |
−1 |
・・・ |
0 |
・・・ |
|
・・・ |
2 |
・・・ |
|
y’ |
+ |
× |
+ |
0 |
− |
× |
− |
0 |
+ |
|
y |
増加 |
× |
増加 |
−1 |
減少 |
× |
減少 |
|
増加 |

の置き方から、
は正で大きな値をとります。
![]()
求める式の値は、2で抑えられます。
「早起きのおじさん」
12/16 15時57分 受信 更新 12/24
問題2
●
について
説明の都合で、
とします。

ここで、新たに、
を
、
を b と置きます。
つまり、
を考えます。
三角形の相似の関係を使うと、割り算の値を図示できます。

より、CDが
になります。
さて、図で、
、
、
になります。
また、
で、三角形の各辺であることから、
なので、
です。
当然、
、
です。

ここで、OA≧OBです。
さて、さて、BEとCDの長さの比較をします。
![]()
![]()
赤い正方形の一辺は1なので、3項の和が2を超えることはありません。
NO3「ice」 12/08 21時42分 受信
更新
「ice」 12/14 19時23分 受信 更新 12/24
<水の流れ:2回の応募をまとめて掲載しました>



NO4「二度漬け白菜」 12/13 10時04分 受信
更新 12/24
問題1:
与式の分母である,(a^2+b^2+c^2)*(a^3+b^3+c^3) が 0 になる
ことは無いものとして解答します.
c=-a-b を用いて
a^5+b^5+c^5,
a^2+b^2+c^2,
a^3+b^3+c^3
を変形する.
a^5+b^5+c^5
=a^5+b^5+(-a-b)^5
=-(5*a^4*b+10*a^3*b^2+10*a^2*b^3+5*a*b^4)
=(-5*a*b)*(a^3+2*a^2*b+2*a*b^2+b^3)
=(-5*a*b)*(a+b)*(a^2+a*b+b^2).
a^2+b^2+c^2
=a^2+b^2+(-a-b)^2
=2*(a^2+a*b+b^2).
a^3+b^3+c^3
=a^3+b^3+(-a-b)^3
=-(3*a^2*b+3*a*b^2)
=(-3*a*b)*(a+b).
よって,
(a^5+b^5+c^5)/((a^2+b^2+c^2)*(a^3+b^3+c^3))
=(-5*a*b)*(a+b)*(a^2+a*b+b^2))/(2*(a^2+a*b+b^2)*(-3*a*b)*(a+b))
=5/6.(答)
問題2:
3/2 ≦ a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b) であることを示す.
(証明)
b+c=x, c+a=y, a+b=z とおくと,
a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b)
=(y+z-x)/(2*x)+(z+x-y)/(2*y)+(x+y-z)/(2*z)
=(y/x+x/y)/2 + (z/y+y/z)/2 + (x/z+z/x)/2 - 3/2
≧((y/x)*(x/y))^(1/2) + ((z/y)*(y/z))^(1/2) +
((x/z)*(z/x))^(1/2) - 3/2 (∵(相加平均)≧(相乗平均))
=1+1+1-3/2
=3/2
よって,3/2≦a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b) が成り立つ.
(等号成立は,a=b=c のとき)
(証明終)
a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b) < 2 であることを示す.
(証明)
s=a+b+c とおく.
a,b,c は三角形の三辺の長さであるので,
b+c > a .
両辺に b+c を加えて,
2*(b+c) > a+b+c つまり,2*(b+c) > s .
よって,
1/(2*(b+c)) < 1/s .
両辺に 2*a を掛けて,
a/(b+c) < (2*a)/s ---(1)
同様にして,
b/(c+a) < (2*b)/s ---(2)
c/(a+b) < (2*c)/s ---(3)
を導くことができる.
(1),(2),(3)の辺々を加えて,
a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b) < 2*(a+b+c)/s = 2.
(証明終)
問題2 の不等式:
3/2 ≦ a/(b+c)+b/(c+a)+c/(a+b)
は,Nesbittの不等式 と呼ばれているものだそうです.
様々な証明が知られているようです.
http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/inequality/nesbitt.htm
https://mathtrain.jp/nesbitt
以上.
「皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。