令和４年9月18日

[流れ星]

　　第417回数学的な連続応募解答

　　　　＜解答募集期間：8月24日〜9月18日＞

［大垣八幡宮奉納算額10］

　　　　　岐阜県大垣市にある八幡神社

江戸時代末期、谷松茂（幽斎）は大垣藩士で致道館講官であった水野民興に学び、自ら塾を開いて和算を教えていました。彼の門人達が大垣市の八幡神社に天保年間に算額（絵馬）を奉納しています。この算額は残念ながら先の戦争で神社ごと焼失したことを知り、幽斎算約四編である奉納された算額の解法を後世に残すために、これから32問順に出題していきます。

今回は第22問題から第24問題です。

第22問題

半円内に直角二等辺三角形を描き、その中へ２等円（青）と黒円を容れる。青円の直径を知って黒円の直径を求めよ。

出題者　名昧宗三郎直光　　　謹考

訂正　直角二等辺三角形を単に直角三角形に訂正します。（21日午後10時記）「よふかしのつらいおじさん」からの指摘により

第23問題

　球内に互いに外接する４個の等球（黄）を容れその上下に赤球と萌黄球を容れる。赤球、萌黄球を知って黄球の直径を求めよ。

出題者　小岩吉右衛門冨薫　　　謹考

第24問題

　交わる３直線に３個の等円（青）と赤円、黄円、黒円が接している。

黄円と黒円の直径を知って赤円の直径を求めよ。

出題者　浅井何某政辰　　　謹考

追加問題（ジョーカーさん提供）

問題１

　

問題２

＜水の流れヒント：ａ_ｎ＝ａｘ^ｎ＋ｂｙ^ｎ＋ｃｚ^ｎとおく＞

NO1「ジョーカー」 　08/21 　　 07時42分 受信 更新 9/18

寄せられた大垣八幡宮奉納算額の第22問から第24問の解答です

また、追加問題の解答です.

NO2「よふかしのつらいおじさん」09/14 23時00分 受信 更新 9/18

第22問題

●半円の半径をＲ、青円の半径をａとします。

図のように青円が、縦線()、Ｘ軸、半円に接しているとします。

△ＯＡＢに三平方の定理を用いると、

●図のように青円が△ＣＤＥに内接しているとします。

、 なので、

また、 なので、

前の結果と比べて、

●前段の結果と比べて、

よって、青円の半径は、

●黒円の半径をｂとします。

先ず、△ＣＦＧに注目します。

今までの結果より、 なので、

つまり、 に対して、青の半径 です。

比例関係を考えて、 に対して、

黒の半径 です。

よって、黒径

第23問題

●黄球、赤球、萌黄球の半径をそれぞれｋ、ａ、ｍとします。

図は、４個の黄球の中心を通る平面を上からみたものです。

三平方の定理よりＰＱの長さは、

●図は、上の図のＰＱに垂直の方向からみたものです。

球の中心をＯとします。

ＡＱの長さは、

同様に、ＭＱの長さは、ａをｍに直して、

●球の半径Ｒを調べます。

・ＮＳの半分を考えます。

・ＯＴを求めます。

そのために、ＯＰを調べます。

よって、

●二つの半径が等しいとして計算します。

両辺2倍して、ｋを移行して整理します。

両辺を2乗します。

見比べて整理すると、

4で約して、

両辺を2乗します。

見比べて整理すると、

ここで、

黄色の部分は、

緑色の部分は、

水色の部分は、

紫色の部分は、

よって、

整理すると、

で約すと、

両辺2乗すると、

ゆえに、

第24問題

●図のように直交する2直線に2円が接し、互いに2円も接しているときの関係を調べます。

円Ｂの半径をａ、円Ｄの半径をｃとします。

△ＯＢＦは直角二等辺三角形なので、 です。

よって、

よって、円Ｄの半径ｃは、

●図のように各円の半径を表します。

上の結果から、

ａとｙは、

ｂとｋは、 の関係があります。

また、2直線の交点と赤と黄円の接点までの距離がｂに等しいので、上の結果から、

です。

(2)と(3)より、

●さて、(1)に強引に(4)を用いると、

追加問題

問題１

●正三角形ＡＢＣの面積Ｓは、

一方、△ＡＢＣの内心をＯとし内接円甲の半径をｒとすると、面積Ｓは、

両者を比較して甲の半径は、

●正三角形なので、 となるので、 である。

つまり と とは、相似比が、1：3 である。

に内接する円乙の半径は、甲の三分の一になるので、

問題2

(1)

●

・

ここで、[ア]には、[イ]には、[ウ]には つまり、 を両辺に補うと、

ここで与えられた値を代入すると、

・

ここで、[ア]には、[イ]には、[ウ]には つまり、 を両辺に補うと、

ここで与えられた値を代入すると、

・一般的に考えてみると、

ここで、[ア]には、[イ]には、[ウ]には つまり、 を両辺に補うと、

ここで、n＝2とすると(1)、ｎ＝3とすると(2)が得られます。

ｎ＝4とすると、

●

とおいて、(1)、(2)、(3)を連立させます。

(3)−(1)−(2)より、

2×(2)−3×(1)より、

(4)＋(5)より、、

(4)−(5)より、

(1)に代入して、

これらを[*]に代入すると、

ｎ＝5とすると、

与えられた値を代入すると、

ｎ＝6とすると、

与えられた値と上の結果を代入すると、

(2)上の経過より、

より、次の方程式の答えとなります。

対称式なので入れ替え可能ですが、考えやすいように、大きい順に考えます。

●与えられた初めの3つの式に代入します。

より、

より、

ゆえに、 、上の式に代入すると、

この結果を(p)に代入すると、

これらは、ｘ、ｙ、ｚとセットで入れ替え可能です。

(3)

●今までの経過から、[*]より、

は公比2の等比数列です。

●

・ｎが奇数のとき、 より、初項が−1なので、

ｎを と変えていくと、

･･･

ゆえに、辺々加えて、

・ｎが偶数のとき、 より、初項が−2なので、

ｎを と変えていくと、

･･･

ゆえに、辺々加えて、

まとめて、

＜水の流れ：上式の結果が綺麗な形をしていて、驚いています。感激。＞

NO3「三角定規」　　　　09/17 16時16分 受信 更新 9/18

以下は三角定規さんのコメントです。

算額22は,「青径/半円径を求めよ」でも十分に問題になりますね。

算額23は，mathematicaの力を借りあと５％のところまでは解けたのですが，あまりにも途中が煩雑できたなく，また最後の詰めもできていないので，控えます。それにしても，どのようにしてこの単純で美しい式を見つけたのでしょう？ 赤と萌黄の調和平均になっているのは，偶然ですよね？！？

＜水の流れ：赤と萌黄の調和平均に気が付かれたのは流石ですね。感嘆。＞

寄せられた第２２問と第２４問、さらに追加問題１の解答です。

「三角定規」　　　　09/17 21時27分 受信 更新 9/18

> 問題23問の答えが調和平均と気が付かれた…

有り難うございます。

物理の中には,「平均」の具体例が数多くあります。

その意味では，付き合いが＜濃い＞のでしょうか。

例えば

惑星の運行を解明したケプラーの法則，その第３法則は別名「調和の法則」

といいますが，これは太陽･惑星間の距離の「調和平均」を軌道１周にわたってとったもの。

他

濃度（密度）が異なる溶液を混合後に到達する平衡点は「加重平均」

等々。

勤める予備校で，私はこのような話をよくするのですが，反応は芳しくはありません。

そもそも，調和平均なぞ，教えられてはいません。

学ぶ内容が多過ぎ，取捨せざるのは已むを得ないのですが…残念ではあります。

＜水の流れ：ケプラーの法則，その第３法則は別名「調和の法則」と数学的知識は繋がっているのですね。また、濃度（密度）が異なる溶液を混合後に到達する平衡点は「加重平均」のことも知りませんでした。ありがとうございます。＞

皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。